EOSがこれからやるべきこと


キャノンのカメラ事業本部長、打土井が語るEOSの将来像。

Impresssの記事であるが、sisimaruの気になったところを抜粋。
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/10/6980.html



普及機について

かつて、銀塩カメラの時代は、あまりに簡単かつ低価格な方向に急速にシフトしたため、それまで丁寧な説明とサポートを行ないユーザーとの関係を築いてきた良質の販売店が疲弊し、説明しなければ売れないカメラは売らなくなりました。 一眼レフカメラのように機能指向の製品は、製品の長所や使い方などを理解してもらわなければ、もう市場は広がっていきません。価格クラスにかかわらず、きちんと一眼レフなりの付加価値を持った製品である必要があります。

機能を落として安く簡単に、というのは、先ほども申し上げたように良いことはないんです。銀塩時代は、これで一度失敗しています。一眼レフカメラは難しい、使いにくいと言われ、そこで全自動ですべてカメラにおまかせという機種を出してみました。しかし、ある程度までは勢いよく売れるのですが、その後すぐにストップしました。

一眼レフカメラを企画する上で、一番理想的な結果は、発売した時点で半歩前進していることです。カメラは製品としての熟成が十分に進んでいる完成度の高い製品です。その高い完成度を崩し、足を引っ張るような方向のチャレンジはうまくいかない。完成度が高い故に、バランスは突然崩れ始める。そのため、どうしても保守的にならざるを得ないのですが、そのバランスを維持しながら、どこまで踏み込めるかに挑戦したい。

プロ機について

小型のプロ機は、それが必要であるという正当化が難しい製品ではないでしょうか。プロ機に必要なメカ性能、たとえば信頼性や連写速度、ファインダー消失時間の短さなどを改善すると、どうしても大きく、重くなるものです。 しかし、これからの進化の中で、味付けを変えたプロ機を出していくということはあるかもしれません。今、やっと銀塩時代に追い付いただけですから、今後、正常進化していく中で小型化という選択肢も出てくるかもしれませんね。


競合について

ナンバーワンはキヤノンでなければならないというのは、メーカーですから当然考えています。しかし、独占欲はありません。できれば3社ぐらいの強力な競合メーカーが争い、切磋琢磨して市場開拓を行なわないと良い製品は出てこないものです。 自分たちだけで、すべての隙間を埋めて独占しようとすると、自ずと製品開発のモチベーションが下がって市場がシュリンクへと向かいます。一眼レフカメラ市場はまだまだ開拓の余地がありますから、各社が競合しながら異なる方向に進化することで、製品の市場を育てていかなければなりません。

今後のEOS

レンズ内手ブレ補正技術は“必須”でしょう。ファインダー像の揺れや、レンズごとの最適制御などさまざまな面でレンズ内手ブレ補正の方が有利ですから。 ただ、将来はいろいろな進化の方向があるでしょうね。ボディ内とレンズ内のハイブリッド方式などもあるかもしれません。これはあくまで私個人の考えですが、ボディ内にも防振機能があれば、レンズと通信しながら、ボディ内防振がレンズ内の手ブレ補正機能を“アシスト”することはできると思います。

今後のEOSの製品ラインナップの中に、EOS 5Dクラスのフルサイズセンサー機は常に組み込んで行きたいと思います。これは私が事業部長になって、一番最初に指示したことです。 フルサイズセンサー機はEFレンズの持つ力をもっとも引き出せます。交換レンズによる写真の楽しみを広げる上で、フルサイズ機を一般ユーザーの手の届く価格帯に持つことは必須ですので、今後、キヤノンは5Dあるいはその後継機種を大切に育てていきます。これは趣味でカメラを使うユーザーをサポートする上で、とても大切なことなんです。

できれば“感性”の部分、使ってる時の気持ちよさや撮影意欲を沸かせる要素を数値化して、開発部隊と徹底的に議論してみたい。高性能なカメラを作るだけでなく、もっと利用者にとって“魅力的な”カメラを作りたい。


何とも我が意を得たりという打土井氏のコメント。レンズ内手ぶれ補正とハイアマチュア向けフルサイズセンサー機をコミットしていただいている。そして感性部分の向上もテーマとしてあげられているし。

うれしい限りである。