印度総括

デリーの旧市街。これも印度


印度に行ってきた。カルチャーショックを受けた。今までsisimaruの持っていたせせこましい価値観が音を立てて瓦解した気がした。


10億を超える人口、100以上の異言語と2000を超える細分化されたカースト。そこから乗数的に派生するあまりに広い生きざまのヴァリエーション。それはあまりに素晴らしく、またあまりに酷い。しかしながらどこのレイヤーに属していようとも、そこで暮らす人々は確固たるアイデンティテイを持っている。物乞いにしても、牛飼いにしても、僧侶にしても、貧富身分の差を超え、みんな胸を張り、凛として生きている。彼らの生きざまは印度において聖なる動物として崇められている丑に似ていると思った。印度の国是は"Satyameva Jayate"、サンスクリット語で「まさに真理は自ずと勝利する」である。彼の地の国民は多尺的価値観を持ちつつ、自分の真理を達成するために皆真剣に行動している。攪拌された乳海の中で。ほとんどすべての国民が中流意識を持ち、爪の先ほどの差異に汲々としている我々とのなんたる差異であろうか。


バンガロールの郊外。これも印度


印度は癒されようとか、買い物を楽しもうとか、こちらの求めるものに応えてくれる国では断じてない。印度から不用意に(時には暴力的に、時には天賦の業を以て)与えられるものを恭しく受け入れ、それを自分で解釈して取捨選択するのである。許容しようがしなかろうが、それは彼らの一つの「真実」であるのだから。